社長ブログ2020年07月07日

コロナに負けじと食中毒菌も活動しています(-“-)

 6月28日、埼玉県の学校給食で3453人の大量食中毒が発生しました。不謹慎な言い方になりますが、久しぶりの1000人単位の食中毒です。15校の児童、教職員約7000人が食べたそうで、その半数が感染したということですから、ある意味新型コロナウイルスより感染率は高いと言えます。原因は病原性大腸菌とのことで、非加熱のおかずの海草サラダが疑いをかけられているようですが、原因は未だ解明されていないようです。この事例は、センター方式の給食のデメリットが出た象徴的な食中毒と言えます。一か所で作ったおかずが何校にも配られる訳ですから、中毒が発生したら広範囲に広がるわけで、どうしても大量の発症者が出ることになります。それゆえに、施設の衛生管理はしっかりしたものだっただろうと思いますし、記事のよればその給食施設は、創業50年を超え、その間一度も事故を起こしていないとのことでした。

 それでも同じような食中毒は繰り返され、弊社のある北海道でも2011年(平成23年)2月に、9校の児童、教職員約3000人が食べた給食により1375人が発症するという食中毒事故が発生しています。この時の原因食はブロッコリーサラダで、原因菌はサルモネラ・エンテリティディスでした。

 やっと再開したばかりの給食で、食中毒というのも可哀想な話ですが、コロナばかりでなく食中毒菌もまた、我々の周りで感染の機会を伺っている訳で、そんな意味でも病原菌との共存は、生き物の宿命ともいえるのではないかと思います。

 そう考えると、食品の衛生管理におけるHACCPの考え方は、必然的であり、非常に合理的であり、人類が食中毒から身を守るためには必要最低限なものではないかと考えます。HACCPが制度化され、衛生管理の世界は、更なる仕組みとしてJFSやFSSC、ISOへとシフトしていきつつあります。でも一番身近な給食や外食といった、いわゆる「食事」を安全に調理するためには、衛生の大原則である細菌性食中毒予防の3原則、①清潔(細菌をつけない) ②迅速・冷却(細菌を増やさない) ③加熱(細菌を殺す) にプラスして ④細菌やウイルスを持ち込まない(作業者の健康管理)を守ることです。そして、この6月から制度化された「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」も、実は食中毒予防の3原則に基づいており、結局は衛生管理の行き着く先は、ここなのだなと思うのでした。もちろん、食中毒は細菌性だけではなく、アレルギーや寄生虫などによるものも防いでいかなければならないのですが、これさえも先の①~④に基づけば、①つけない⇒アレルギー物質をつけない ④持ち込まない⇒アレルギー物質を持ち込まない、寄生虫を持ち込まない、と整理される訳です。

 今更ですが、HACPPは何故制度化されたか?その根本目的は、食中毒の予防のはずです。横文字ばかりの高度な仕組みを作ることが衛生管理ではないはずです。当たり前のことを、当たり前に行うためのルールを作ること、その結果がHACCPの考え方を取り入れた衛生管理になる、というのが理想だと思います。でもそれは空想ではなく、取り組み方、進め方次第だと思います。「HACCP」という横文字に惑わされず、先に書いたその本質が理解できれば、至極当たり前のことだと判るはずです。今年に入って一緒に取り組んだお客様から出てきた言葉です。

 「な~んだ、小林さん。ここにまとめたことって、当たり前のことばかりじゃないですか」

 そーなんです。[HACCP」という呪文のような言葉が、至極当たり前の取り組みを、すごく難しいものにしてしまっているのです。

 ・・・そういえば、今日の話題の学校給食は、管轄している文部科学省から衛生管理のマニュアルが出されており、それはHACCPの考え方を取り入れているものです。ということは、HACCPの考え方を取り入れても、食中毒は起こる!?実はそれが一番大事なポイントで、HACCPの考え方を取り入れても事故が起こるのではなく、それを理解してきちんと運用されないと事故は起こるということです。

 結局、どんなに素晴らしい考え方に基づいて仕組みを作っても、それが遵守されなければ「絵に描いた餅」です。とどのつまり、大事なのは人の教育ということになりますね。

この記事を書いた人:小林樹夫

所属:代表取締役 担当:皆の社長(笑)

小樽の漁師町の生まれ
人生の前半を小樽、函館で過ごし、酸いも甘いも色々経験(笑)後半の人生は、死ぬまで札幌で修行の予定。
さていよいよ50代最後の1年、来年は折り返しの年です。頑固でありながらも、いつまでも柔軟な感性を失わない、しなやかな社長=親父=おやじを目指してます❗